大きな石がたくさん転がっている所、手頃な石をひっくり返してみると、カニや巻き貝がびっくりして大騒（おおさわ）ぎになります。ふにゃふにゃした物が付いた石、これは、水の中に入れておくと、イソギンチャクと分かります。何もいない水たまり、踏（ふ）み込（こ）むと一瞬（いっしゅん）で逃（に）げた小さな魚がいました。 水たまりの中のごみ山（竹や空き缶（かん）、古タイヤ）は、エビや小魚、ウミウシなどのアパートみたいです。たくさんの釘がでた木のトンボを引きづっている人を見つけました。後をついて行くと、突然（とつぜん）10cmくらいのクルマエビが飛び出しました。
　巻き貝の死殻（しにがら）は、ひっくり返すとみんなヤドカリです。ヤドカリは成長しながら家を変えていきます。でもヤドカリは、いつから宿借りなのでしょうか。卵（たまご）からふ化した幼生は、しばらく水中をただようプランクトンとして成長します。 その姿形（すがたかたち）は親からは想像できません。脱皮（だっぴ）を繰り返し、やがてグラウコトエと呼ばれる幼生になります。グラウコトエは、水の流れで干潟に運ばれると、そこで砂底の生活に移ります。だから干潟には、砂底の生活に移ったばかりの宿を借りていないヤドカリがいるはずです。５月頃の大潮干潮時（おおしおかんちょうじ）、岸寄りの水たまり、そっと手で底の砂を払ってみましょう。きっと小さな不思議な生きものを見つけることができます。