大気、水質、土壌、騒音について、人の健康、生活環境を保全するために望ましい目標値として環境基本法で定められた基準。 あくまで目標とする基準であり、これが守られなかったからといってすぐに人の健康に悪影響を及ぼすというものではない。 環境基準を達成するために、事業所などから出る排水や排ガスには排出基準が設けられている。 環境基準の達成率は環境白書等で毎年、報告されている。
水質汚濁に係わる環境基準については河川・湖沼・海域ごとにその利用目的に応じて3から6段階の類型に分け、
それぞれに基準値が定められている。これを、類型あてはめ(類型指定)という。
(表1河川
表2湖沼
表3海域)
年間の日間平均値の全データ(n個)をその値の小さいものから順に並べたとき、 0.75×n(整数でない場合は直近上位の整数)番目にくるデータのことをいう。 年間を通じて環境基準を達成していたか否かを判断する場合にこの75%値を使用する。
COD(化学的酸素要求量) Chemical Oxygen Demand
主として有機物による水の汚濁の程度を示す指標で、水中の汚濁物質を酸化剤(過マンガン酸カリウム)
で酸化する時に消費される酸素量(単位はmg/l)で表示する。この値が大きいほど汚濁が進んでいることを示す。
CODパックテストの解説(PDFファイル162KB)
窒素と同様に水中の栄養塩類として富栄養化の原因となる物質の1つである。 生活排水、工場排水、農業排水に多く含まれ溶存態リン (水に溶けてイオン化した状態)と懸濁態リン(水に溶けずに粒子で浮遊している状態)に区分される。その総量をT-P(全リン)と呼ぶ。
水中の窒素化合物は、亜硝酸イオン(亜硝酸態窒素)、硝酸イオン(硝酸態窒素)、 アンモニウムイオン(アンモニア態窒素)および有機態窒素(有機物に結合している状態)などの形で存在しており、 栄養塩類として湖や河川を富栄養化させ植物プランクトンの著しい増殖の原因となることがある。 生活排水、工場排水、農業排水に多く含まれ溶存態窒素(水に溶けてイオン化した状態)と 懸濁態窒素(水に溶けずに混ざっている状態)に区分される。その総量をT-N(全窒素)と呼ぶ。
有機物とは基本的に生物が作るもので炭素原子を含む物質のこと。 また、それから派生するような人工的で炭素を含む化合物も有機物となる。 ただし、一酸化炭素や二酸化炭素は炭素原子を含むが無機物に分類される。 無機物とは水や空気や金属など生物に由来しない物質のこと。
湖沼などの閉鎖性水域で植物プランクトンなどが生育するうえで、 必要とする栄養塩類(窒素、リン等)が次第に高濃度になっていく現象をいう。富栄養化が進行すると、 赤潮やアオコの発生、異臭(カビ臭など)などの水質障害や、酸素濃度低下による魚介類の死滅、水域の水質値の悪化などを引き起こす。 富栄養化は自然界の作用と人間活動に起因するものがあり、後者では特に都市部における生活排水の排出に因るところが大きい。
BOD(生物化学的酸素要求量)Biochemical Oxygen Demand
CODと同様に主として有機物の汚濁の程度を示す指標である。 水中の有機物が一定時間、一定温度のもとで好気性微生物によって分解される時に消費される酸素量 (単位はmg/l)で示す。化学的酸素要求量(COD)が海域や湖沼で用いられるのに対し、 BODは河川の汚濁指標として用いられる。数値が多いほど有機物が多い、つまり水質汚濁が進んでいることを示す。
水中にとけ込んでいる酸素量をいい、単位はmg/lで表す。 有機物などで汚濁が進行した水域では水中の微生物が有機物を分解し酸素を消費するためDOの値は低くなる。 魚介類などの水中生物が生育するためにはDOが3mg/l以上必要であるといわれている。
透視度は水の中に含まれる懸濁物による濁りの程度を示す指標である。 水の透明さを簡単に測定できる。直径3cm、高さ30〜100cmの透明な管に水を入れ底に おいた標識板の2重十字が識別できる水柱の高さで示す。
し尿と生活雑排水(台所、洗濯、風呂等からの排水)を併せて処理することができる浄化槽のことである。 公共用水域の水質汚濁に占める生活排水の割合が大きくなり、 生活雑排水を未処理で放流する単独処理浄化槽(し尿のみ処理する浄化槽)に代わり、下水道が普及していない地域では合併処理浄化槽の設置が求められている。